松戸市大腸がん内視鏡検診の導入を市長に直訴してきました!
- 日本の対策型大腸がん検診は、ご存知のように便潜血検査のみです。残念ながら大腸がん検診について皆さんの関心は低く、検診受診率、精検受診率(便潜血陽性での精密検査(大腸内視鏡検査(大腸カメラ))の受診率)は、欧米諸国と比べてかなり低いのが現状です。
アメリカは、国民皆保険で守られている日本と比べ、所得に応じて加人した医療保険によって病気になった時に受けられる医療サービスが異なります。その為、健康や予防医学に関心が高く、自分の身は自分で守るという意識が定着しています。勿論、身体的にも経済的にも重大な影響を及ぼすがん対策に対しても、早期発見・早期治療が可能となるがん検診に重点を置いています。いっぽう、日本もがん検診を行っていますが、あまり啓発活動が行われず、進行がんで高度な医療費が必要となった場合に、高額医療費制度等で平等な医療サービスを提供することで国民を守っていますが、このような医療は持続可能ではなく、ご存知のように社会保障費が膨大となり国家財政を圧迫しています。今後、日本も健康志向を高め、自分の身は自分で守る意識が必要です。
そのような医療的背景の違いによって、アメリカは何年も前から大腸がん検診に内視鏡検診を導入し、45歳〜75歳の間、10年に1度、無償で大腸内視鏡検査を受けられるようにして大幅な大腸がん死亡率低下に成功しています。日本はどうでしょうか。大腸がん死亡率:男性第2位、女性第1位、罹患率:男女ともに第2位で、食生活の欧米化や肥満、運動不足といった健康意識の低さが影響してか1980年代よりも2020年のほうが大腸がんの罹患率が明らかに増加し、さらに深刻なのは40〜50歳代の大腸がんが増加しているのです。
兒玉医院でも過去5年間で50人以上の大腸がんを発見して治療に結びつけていますが、大腸がんの若年化が目立っています。子育て・働き盛りの年代の方が進行大腸がんが判明されると、人工肛門が必要になったり、長期にわたる抗がん剤治療によって身体的にも経済的にも社会生活に多大なる影響を及ぼすことになります。何年も前から便潜血を指摘され、いよいよ自覚症状がありやっと受診して、進行大腸がんが見つかる方がけっして少なくありません。
そのような現状を看過することができず、私は数年前から大腸がん内視鏡検診導入を医師会に訴えてましたが、国や自治体の先行例が無いと・・・と却下されておりました。そして今年度、ついに国を飛び越えて大腸がん内視鏡検診導入への第一歩を踏み出した自治体が誕生したのです。それは松戸市よりも人口が多い熊本市でした。熊本市は、今年度から50〜59歳の方を対象に1000件の大腸内視鏡検査を無償で行うという大腸がん内視鏡検診を全国に先立ち開始したのです。国はまだ検証が済んでいないと大腸内視鏡検診を推奨していませんが、国内での大規模な検証結果を待っていたら何年先になるか分かりません。内視鏡検診の有用性は既に海外で大腸がん死亡率低下と費用対効果は実証されているのですから実行あるのみです。
そして数日前、私は松戸市消化器がん検診部会を代表し、市長と松戸市に大腸がん内視鏡検診の早期実現を訴えてきました。これまで前例や国の動向に拘っていた松戸市が熊本市のように実現できるかは不透明ですが、これからも実現に向けて努力を続けるつもりです。
それまでは、皆さん、50歳代で一度も大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けていない方は、是非自主的に一度は大腸内視鏡検査を受けてください!便潜血検査も大切ですが、便潜血が陰性でも大腸ポリープや早期大腸がんは否定できません。特に大腸がんの家族歴がある方は、早めに内視鏡検査を受けましょう。大腸ポリープを切除すれば大腸がんは予防できるのです。早期大腸がんの大部分は内視鏡切除で治療が完遂します。大腸内視鏡検査は、前処置として腸管洗浄液を服用する必要がありますが、検査は鎮痛剤や鎮静剤を併用すれば、うとうとしている間に終了します。ポリープや早期がんは無痛で切除可能ですので、とにかく一度は大腸カメラをやっておきましょう!